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PC入れ替え時に発生したDHCPトラブルと対処法

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はじめに

先日、事務所のPCを Windows10 から Windows11 に順次入れ替える作業をしていたところ、思わぬトラブルに遭遇しました。
3台目までは問題なくネットワークに接続できたのですが、4台目と5台目をつなぐと有線LANのアイコンが「グレーのモニター+点滅するLANケーブル」表示となり、ネットワークに接続できない状態になったのです。

一見するとケーブルの不良やアダプタ故障にも見えますが、原因は DHCPの割り当て上限 でした。


トラブルの症状

  • タスクバーのネットワークアイコンが「モニターグレー+LANケーブル点滅」の状態。
  • 物理的にはLANポートに接続されているが、IPアドレスが割り振られていない。
  • ipconfig で確認すると、IP未取得、もしくは 169.254.xxx.xxx の自動構成IP(APIPA)になっている。

DHCPのしくみ(リース取得と期限)

DHCPでは、PCがネットワークに接続されるとサーバー(今回だとYAMAHA RTX)から IPアドレスを「借りる(リース)」 という形でアドレスを受け取ります。

  • リース取得
    新しく接続されたPCは「IPが欲しい」と要求を出し、サーバーが空いているアドレスを貸し出します。
  • リース期限
    アドレスは無期限ではなく「24時間」や「7日間」などの期限付きで貸し出されます。
    PCがその間にネットワークを使い続けていれば、期限前に「延長要求」を出して更新されます。

問題は、PCをシャットダウンしてもリースが即時解放されない点です。
→ サーバー側から見ると「まだそのPCに貸している状態」のまま残ってしまい、上限台数を超えると新しいPCに配布できなくなります。

このため、古いPCを外す前に ipconfig /release で明示的にリースを返却する ことが重要になるわけです。
なお、時間が経てばリース期限が切れて自動的に解放されますが、期限が長いと数日~数週間接続できないことになり、実務的には待っていられません。


原因

YAMAHA RTX系ルーターでは、DHCPで配布するアドレス範囲(スコープ)を設定します。
たとえば次のような設定だとします。

dhcp service server
dhcp scope 1 192.168.1.2-192.168.1.6/24

この場合、配布できるIPは .2~.65台分まで です。
古い Windows10 PC がリースしたIPアドレスを「返却」しないまま電源を切ったため、新しいPCに割り当てる余地がなくなってしまった、というのが今回のトラブルの正体でした。


対処法

1. 古いPCで ipconfig /release を実行する

入れ替え前に古いPCを起動し、コマンドプロンプトから以下を実行します。

ipconfig /release

これで古いPCが「IPを返却」し、RTX側で再利用可能になります。
その後、新しいPCを接続すればスムーズにアドレスが取得できます。


2. RTX側でリースを解放する

もし古いPCがもう手元にない場合は、ルーター側からリースを削除します。

show status dhcp
clear dhcp lease address 192.168.1.X

show status dhcp で現在の割り当て状況を確認し、不要なエントリを clear コマンドで削除することで、再び配布可能になります。


3. DHCPスコープを広げる

入れ替え作業や台数増加のたびに同じ問題が起きないよう、スコープを広げておくのがおすすめです。

no dhcp scope 1
dhcp scope 1 192.168.1.2-192.168.1.50/24

これで .2~.50 までの49台分を割り当て可能にできます。
オフィス環境なら、余裕を持って数十台分確保しておくと安心です。


4. 一時的に固定IPを割り当てる

どうしてもすぐにネットに繋ぐ必要がある場合は、DHCP範囲外のIPを固定で設定する方法もあります。

  • 例:DHCP範囲が 192.168.1.2-192.168.1.6 なら、192.168.1.100 を手動割り当て。
  • ゲートウェイとDNSはルーターのIP(通常は 192.168.1.1)。

まとめ

今回のトラブルは「PC入れ替え時に古いPCのDHCPリースを解放せずに電源を落とした」ことで、RTXのDHCP割り当て上限に達し、新しいPCにIPが配れなかったことが原因でした。

再発防止のポイント

  • 古いPCを外す前に ipconfig /release を実行する。
  • DHCPリースには期限があるため、待っていれば自動解放されるが、即座に使うなら手動で解放する必要がある。
  • ルーター側でDHCPスコープを広げておくと、台数増加や入れ替え時のトラブルを防げる。

これらを押さえておけば、PC入れ替えや増設時のネットワークトラブルを大きく減らせるはずです。

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